キャビテーション洗浄における周波数選択の重要性

超音波により発生するキャビテーションの核となる大きさは周波数により異なります。発振周波数を変動させる事により、特定のターゲットとなる大きさのパーティクルに対して有効で、様々な周波数を使用する事で、広範囲のパーティクルに対しての洗浄が可能となります。又、ダメージの観点からも適正な周波数を選択することが重要です。

1. 周波数によるキャビティー核の大きさと効果について

周波数によるキャビティー核の大きさ

A. 40kHz – 約120μ
B. 72kHz – 約60μ
C. 104kHz – 約45μ
D. 170kHz – 約30μ

実際にはキャビテーションが発生する十分な出力(液体の負荷より勝る音圧)の時には、発振周波数がキャビテーション核の大きさを決める要因となり、出力はキャビテーションの発生量を決める要因となります。

キャビテーション核の大きさは衝撃力と比例するため、28kHzや40kHz等比較的低い周波数の物は剥離や脱脂洗浄、研磨粉の除去などの比較的頑固な汚れに使用される場合が多く、170kHz等周波数の高い物は波長が短く衝撃力が少ない為、ハードディスク部品等パーティクル洗浄やダメージが懸念される場合にも使用されています。

2.ダメージの観点から見た周波数選択

キャビテーションのサイズは、汚れ除去とダメージの相互関係となります。一般的に低周波の28kHz、40kHz等のキャビテーション洗浄は衝撃力が強力な為に、頑固な汚れや層が厚い汚れに対して有効です。反面その強い衝撃力はワークを傷つけてしまう可能性が有り、基板洗浄やレンズの洗浄等では事前に確認等を行う必要があります。材質的には、ガラスやセラミック等、衝撃に弱くクラックを引き起こすワーク、又、アルミ、銅や金等の軟質金属の場合は表面傷に注意する必要があります。

このようなときに有効なのが104kHz、170kHz等、比較的波長が短く衝撃力が弱い周波数です。ただし、洗浄力自体が不足する可能性もあるので、40kHz等の周波数を短時間使用し、その後72kHz、104kHz、170kHz等の周波数を使用する事で効果的な洗浄結果をもたらすケースも少なくありません。

3.周波数と定在波の関係について

定在波とは各周波数で半波長(1波長の1/4と3/4波長部分)毎に負圧状態が最も強いためにキャビテーションが帯状に発生するポイントです。この為、周波数と定在波の関係については周波数が低くなればなるほど定在波の間隔が広くなると言えます。現実にはワークや壁面などの反射影響があるのですが、この定在波を有効に使用すると効果的な洗浄が可能になります。ただし衝撃力に弱い精密ワークに対してはこのキャビテーション密集部分が致命的なダメージになる場合もあります。

水を使用している場合、前述のように定在波の間隔は使用する周波数によって異なり、凡そ40kHzで18mm程度、72kHzで10mm、104kHzで7mm、170kHzになると5mm間隔となるため多周波を使用したり、高周波を使用する方が低い周波数のみで洗浄するよりむらの無い洗浄が可能になります。

周波数と定在波の関係

周波数と定在波の関係

4.パーティクル洗浄

次に周波数によるパーティクルサイズの除去率についてですが、パーティクルの除去効果は超音波周波数に影響される傾向が強く、そのパーティクルサイズから効率的な周波数を選定する傾向が特にハードディスク業界等では広くとられています。

40kHz-2.8μ 72kHz-2.2μ 104kHz-1.8μ 170kHz-1.5μ

上記は実験結果より、それぞれの周波数が最も効果的に除去できるパーティクルのサイズとなります。

周波数によるゴミの除去率グラフ

周波数によるゴミの除去率グラフ

周波数の異なる超音波を組み合わせることにより効率的なパーティクル除去が可能となる為、最近の洗浄工程では数種の周波数が使われる事が多くあります。

マルチ発信器によるゴミの除去率グラフ

まとめ

周波数の高低による関係図

周波数の高い低いによる洗浄力、キャビテーション密度、ダメージの大小の関係は上のような関係となります。このように周波数の違いにより洗浄の性格が異なります。周波数を製品、汚れの種類、サイズなどから選択、又、組み合わせることにより今までの超音波洗浄方法では困難であった洗浄も可能となりつつあります。

弊社のソフトソニック、マルチソフトは上記コンセプトを基に設計開発されました。様々な製品や汚れに対応する為に周波数ラインナップを増やし、更にマルチソフトは精密洗浄に必要とされているスイープ共振の問題解決、コンタミの再付着防止も可能とし、ワークに合わせた洗浄プログラムまで可能としたハイスペックモデルです。