ゲートカット

1.原理

強い超音波振動を樹脂に当てると、溶融する前に割れ(クラック)が発生します。 これは急激な衝撃が加わる為で、この超音波振動を利用し、ゲートの一部分に振動エネルギーを集中させて成形品をゲートから切り離すのが超音波ゲートカットです。
図1は超音波ゲートカットの仕組みを示しています。 ホーンをランナーに接触させると、超音波振動はゲートを通過して成形品へと伝達されます。 ゲートの終わり(成形品とゲートの境界部)は非常に細く設計されており、超音波振動が加わると一番細くなっている境界部に応力集中が発生し、発熱して溶断され成形品を切り離すことができます。 このため、ゲートが細いほど短時間でのゲートカットを行うことができます。
超音波ゲートカット

2.利点

  1. ゲートカットの時間が短い(通常は0.5秒以下)
  2. 複数のゲートカットが一度に行える
  3. ゲートが成形品の方に残らない為、仕上がりがきれい

3.設計

図2は通常のゲートを表していますが、これに超音波振動を与えると、ゲートを溶断することができますが、ゲートの太さが一定の為、応力集中が発生する場所が安定せず、成形品にゲートが残る場合があります。
これに対し図3ではゲートと成形品の境界部が一番細くなっており、超音波振動を与えるとこの部分に応力集中が発生し溶 断されるため、成形品にゲートを残さない安定したゲートカットが可能になります。 この場合のゲートの出口の径“D”は細いほど効果的で、1.0mm以下にするのが望ましいです。 逆にランナー側のゲート径は太くし、更にR取りを施すことによって応力集中が発生するのを防ぎます。
ゲート形状が角型の場合は、成形品との境界部のゲート角1辺の長さを0.5mm以下にするのが望ましいです。
通常のゲート状態と超音波用のゲート状態

4.注意点

  1. ホーンのサイズは図4のようにランナー全体の寸法よりも大きくする方が望ましいです。
    ホーンサイズについて
  2. ランナーへ接触させるホーンの形状は、通常フラットを用いますが、場合によってはランナー部分を半分覆う形状にし、超音波振動を伝達しやすくします。
  3. ホーン先端の振幅は高くし、加圧力は低い方が望ましいです。
  4. 治具は基本的にランナーの真下を受けますが、ランナー形状に合わせて正確に受けすぎると、ゲート部に超音波振動が伝達されにくくなってしまい、うまく振るい落とすことができなくなる場合があります。 このような場合には、治具の表面にコルクシートやゴムシート等を敷いてランナーの当たりをソフトにする必要があります。
    更に確実な治具形状として、図5に示すようなランナーの中心部だけを受ける形状にし、ホーンで加圧した時にゲート部に近いランナーが曲げの力を受けるように設計すると、ランナーは超音波振動に対し、より追従力を増して効率良くゲートカットが行えます。 この場合、ホーンの下降位置はメカニカルストッパーを使用します。
    治具設計の応用例
  5. 超音波ゲートカットは対象物が熱可塑性樹脂であれば全て可能ですが、中でもポリカーボネート、アクリル、ABS、スチロール等比較的硬質の樹脂材料が効率良く超音波振動を伝達する為、スムーズにゲートカットを行うことができます。