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赤外線カシメの概要

1.赤外線カシメとは
米国Extol社が特許を持つ赤外線カシメ技術は、赤外線エネルギーを集光させて素早く効率的に樹脂性ボスのカシメを行う技術です。
赤外線カシメと言っても赤外線を発生する熱源によって樹脂を加熱、溶融させるものではなく、光を集光させることによって加熱させるというところがこの技術の最大の特徴となります。
カシメサイクルは、赤外線カシメツールが下降してワークをクランプするところから始まります。
一般的な他の樹脂カシメ工法では、別にワーククランプ機構が必要となりますが、赤外線カシメ機ではツール先端でワークをクランプするので、別にクランプ機構を設ける必要はありません。
クランプ後、ツール内部のランプから照射された光は放射状に広がりますが、この放射状に広がった光を集光器内部で集光させ、ツール内部に収めたボスの側面に当てることによってボスを加熱、軟化させます。
この時、集光された光が当たるボスのみが加熱され、他の部分においてはほとんど温度上昇がありません。
その為、カシメを行う周辺に熱に弱い電子部品などが実装されていても、これらの部品に悪影響を与えることなくカシメを行うことが可能になります。
また光を集光させて加熱しますので、ボスは非接触状態で加熱され、加熱時におけるボスの挫屈や倒れがなく、製品に傷やダメージを与えることもなく、また高いカシメ強度を得ることができます。
十分にボスが加熱された後には、ツール内部のパンチが下降してボスを押さえ、エアを吹き付けながら冷却を行い、カシメ形状を成形します。
この時、パンチの温度は常温状態ですので、短時間での冷却が可能になり、糸引きも起きにくく、サイクルタイムも短縮させることができます。
十分にボスが冷却されると、パンチ及びツール全体が上昇し、カシメサイクルは終了します。

赤外線カシメのシーケンス図
赤外線カシメのシーケンス
①ワーククランプ&ボス加熱
ワークをツール先端でクランプした後に、赤外線を照射し、ボスを側面から加熱します。
②カシメ&冷却
パンチが下降してボスをカシメ、エアにより冷却します。
③パンチ上昇
冷却終了後、パンチが上昇します。
④ヘッドが上昇し、サイクルが終了します。

他の樹脂カシメ工法と比較した場合における赤外線カシメの利点
熱カシメや超音波カシメ、ねじ止め等の他の工法と比較した場合の赤外線カシメの利点として、以下のようなことが挙げられます。

① ワークへのダメージが極めて少ない
ボスのみが局部的に加熱されますので、製品に与える熱のダメージがほとんどありません。 また超音波カシメのように振動も与えませんので、衝撃に弱い他の部品の搊傷や、意匠面への傷のダメージの心配もありません。
② ランニングコストが少ない
赤外線カシメは樹脂のボスを加熱して軟化、リベット形状への成形を行いますので、製品の固定に他の部品や接着剤などを必要としません。 その為、消耗品が少ないという点でランニングコストを抑えることができます。 ツール1本あたりの消費電力は100Wで、赤外線照射中のみ、この電力が消費されますので、同じ樹脂カシメでも熱カシメやホットエアーと比較した場合には、消費電力や消費エア量を抑えることが可能になり、ここでもランニングコストを抑えることが可能となります。
③ サイクルタイム、ダウンタイムが短い
赤外線カシメ装置では、電源を入れるとすぐに使用可能ですので、熱カシメ機のようにヒーターの温度が上昇するのを待つ必要はありません。 またサイクル時においても、冷えたパンチで樹脂をカシメますので、短時間での完全な冷却が可能になり、サイクルタイムを短縮させることもができます。
④ 高いカシメ強度を実現可能
ボスにストレスをかけずに加熱・軟化させてカシメを行うため、カシメ後の樹脂の状態は安定しており、高いカシメ強度を得ることができます。 超音波カシメと比較して20%弱の強度アップを得られたという実例もあります。
⑤ 高い安全性
光を集光させて樹脂を加熱しますので、加熱中のツール部を触っても全く熱くなく、火傷や発火の危険性がなく、非常に安全性が高いカシメ工法です。
⑥ 多点同時カシメに有効
赤外線カシメで使用するコントローラーは、1台で最大24ヶ所までのカシメポイントを個別に制御することが可能となっています。 それぞれのカシメユニットを個別に制御できますので、ボスのサイズや材質が異なっていても同時に加工することができます。
⑦ 清潔な作業環境を実現
非接触状態でボスを加熱し軟化させますので、樹脂粉が飛散するようなこともありません。 カシメ後の糸引きの発生も少なく、ワークも装置もきれいに保つことができます。

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